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『力説自動車』(小学館)

同業の自動車ライター小沢コージ君との対談形式で全編語り&書き下ろした
自動車&自動車社会批評。

前編が「クルマ社会メッタ斬り!」と題した対談を13本、
後編を2005年東京モーターショー時点で日本で購入できるクルマ160台についての
論評を下した二部構成を採用している。
小学館の雑誌「sabra」で年に1~2回組まれていたクルマ特集ページが
キッカケとなって生まれた。
読者の99.99%が男性というグラビア雑誌を舞台として行われたクルマ特集なので、
そこでは自動車雑誌が行っているような、ハンドリングだとかスペック、
技術解説的なクルマ評価から極力離れて、一台々々を論評するスタイルを採っていた。
「そのクルマに乗ったら、モテるか? 見栄が張れるか? 自己満足に浸れるか?」

この3点で採点していっていたが、採点する理由の方が長くなり、
いつも与えられた行数に収まらず、ふたりで消化不良を感じていた。
なぜならば、採点に辿り着くまでの前提や周辺について語るべきことが
あまりにも多かったからだ。

前提と周辺とは、クルマを取り巻く社会であったり、法制度であったり、
自動車メーカーの開発姿勢などだ。
それらについて、まとめたのが前半の対談となる、以下の13本だ。
・あなたは乗っているクルマで差別される!
・レクサスは新富裕層を狙っている!?
・ガソリンスタンドが禁煙化されない不思議
・力説! すべての軽自動車は「発泡酒」だ!
・アメ車は並行輸入モノに限る!?
・○か×か? 05年東京モーターショー
・クルマの味を知るには
・道路公団民営化! でも、道路の質は「最悪」
・三菱自動車は「ランエボ自動車」にすべし!?
・プラットフォーム共有化って、どーいうこと?
・そういうコージ&カネコが乗っているクルマは?
・カーナビなんて、そもそも要らない?
・シビックは日本人を棄てた。残念

この中には、今となっては問題設定自体が古くなってしまっているものもあれば、
依然として解決されず、場合によっては深刻さを増しているものもある。
ふたりの間で見解と意見が異なっているものもあるが、一致しているのは、
“日本では、道路の質を向上させる必要がある”という点だ。
ふたりとも、さまざまな形で外国をクルマで移動した経験をもとにして、
日本の道路の質の低さを指摘している。

道路公団民営化やガソリン税の一般財源化などで議論される際に、
「無駄な道路は要らない」というフレーズが、賛成派からも反対派からもよく聞こえてくる。
僕らに言わせれば、そのもの日本の道路は“無駄か否か”以前に、
質の低さこそ改善されなければならないのだ。

追い越し車線の少なさ、料金の高さ、警察の恣意的な取り締まり、
安全性の低さなど、高速道路でも一般道でも、クルマの利便性を
引き出そうとして作られているとは、とても思えない道路行政が行われている。
東京から大阪までクルマを運転していくと言うと
変人扱いされる道路行政と環境と意識などを改める必要がある。

それがないから、クルマを持っても、本来発揮できるはずの便利さや楽しさが
享受できなくなり、宝の持ち腐れに終わってしまう。
半ば、売れなくて当然なのだ。いくら魅力あるクルマ造りをしたところで、限界がある。
だから、“どのクルマが速いか遅いか、ハンドリングがいいかどうか”という、
クルマだけを見た論評は読者に届かなくなって来ている。

ふたりの対談は、こうした現代日本のクルマを取り巻く構造的な制度疲労を指摘し、
改革の必要性を力説している。「モテ、見栄、自己満足」という仕立てを取っているが、
それはあくまでも偽悪的な演出である。

ふたりで喋った速記録をもとに原稿を自分たちで書くので
すぐに完成するかと思っていたが、甘かった。
分量が半端でなく、出版の予定がだいぶ遅れたことを反省している。。
校正ミス、タイプミスが少なくないのも、そのせいだ。
でも、「バイヤーズガイドの体裁を採っているが、それだけに終わらず、
実に読み応えがあり、面白い」という評価を、読者からアマゾン・ドット・コムに
寄せられたので、うれしかった。そろそろ、次の版を出したい。

書籍-no.06

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単行本 : 257ページ

出版社: 小学館

発売日: 2006/04

定価(税込み)¥1,575