第19回:8月18日「クラスノヤルスク・トヨタ」



『10年10万キロストーリー4』刊行記念!

クラスノヤルスクに滞在している間、不調のカルディナを2回目の修理に出すことに。訪れたトヨタディーラーで、社長との会話が弾む。






■もっとクルマを送って!


朝8時半に、街の北東にあるトヨタへカルディナを持っていく。イルクーツクのトヨタで直っていなかったガソリン残量計と、リアサスペンションのダンパーを左右2本交換するためだ。

フロントでこちらの事情をイーゴリさんに説明してもらうと、すぐに社長室に招き入れられた。アレクサンダー S.カングン社長と、お茶をいただきながら、懇談。“カーガイ”のイルクーツク・トヨタのパンツェヴィッチ社長と違って、カングン氏はビジネスマン然としている。話題も、もっぱらそっち方面。

「日本のトヨタ本社に、もっとクルマを送って欲しいですね。うちは割り当てが少ないから、経営的には赤字なんです。雑誌の記事で知りましたが、最近、トヨタはアヴェンシスというイギリスで生産したクルマを日本へ輸出したそうですね。トヨタは、日本ではたくさんのモデルを売っているのだから、アヴェンシスまで必要ないんじゃないですか? ロシアに回して下さいよ(笑)。すべて売ってみせますから」
























■中央シベリアのクルマ事情

1995年にビジネスを開始し、現在ではトヨタ車の他に、フォードとアウディを扱っている。トヨタの正規ディーラーではあるが、専売店ではない。
「クラスノヤルスクでのトヨタの人気は絶対的で、それが揺らぐことはないでしょう」
現在、クラスノヤルスクではいわゆる正規ディーラーが扱う新車は全登録台数の15%にしかすぎないが、顧客の所得が向上すれば新車の割合は高まるそうだ。中古車の方が安いから、仕方なく乗っている人が多い。

極東のウラジオストクでは、街を走る99%のクルマは日本車だったが、中央シベリアのここクラスノヤルスクでは、ざっと見た感じで日本車は60~70%に減っている。ボルガやラーダ、モスクヴィッチなどのロシア車とドイツ車が増えてきている。西へ行くに従って日本車が減り、ロシアとヨーロッパのクルマが増えてきているわけだ。

(文=金子浩久/写真=田丸瑞穂/2003年8月初出)